服装について

カヌー・カヤックの装備として重要なのはどのような服装で川や海にでるのかです。

レジャーだから気楽な格好でいいやと簡単に決めないで下さい。

水泳のときには水着を着るはずですし、振袖で登山をする人はいません。

まずはカヌー・カヤックに適した服装から考えて行きましょう。

ウォータースポーツの服装を考えるときにはまず濡れるということを念頭においてください。

濡れると気持ちがいいのは真夏の炎天下ほんの短い期間です。

カヌー・カヤックは一年をとおして遊べるのですから当然暑い寒いに対処しなくてはなりません

濡れて気持ちがいいという時期以外は当然ながら濡れると寒いと感じます。

真夏の炎天下においてさえ、寒いと感じることは多々ありますし、事故も起こっています。

この場合の事故とは怪我ではなく、ハイポサーミア=低体温症といわれるものです。

子供のころプールに入って思いのほか寒く唇が紫色になったり

ガタガタと震えが止まらなかった経験をした人も多いかと思います。

これらはこのハイポサーミアの症状なのです。

そのまま放置しておけば意識を失い死に至る怖い症状です。

これは病気ではありません。体を温めて安静にし栄養を取ることでまた正常な状態に戻ります。

このハイポサーミアを避けることのできる服装がウォータースポーツに適した服装なのだといえます。

ではハイポサーミアの起こる仕組みを見てみましょう。

小学校の理科の時間、

もう忘れてしまったよなんていわずに頑張って思い出してくださいね。

気化熱って習いませんでしたか??

水 ( 液体)が蒸発するときに熱を奪うのでした。

なんとなく熱エントロピーがどうとかこうとかといった話を思い出してきませんか??

この気化熱のおかげで犬はハアハアとよだれをたらしながら息をすることで

暑い真夏に毛皮を着込んだままでも体温を下げることができるんでしたよね。

さて、毛皮を着込んだ犬の体温は下げてもいいんですが、

水に濡れそぼった毛皮を着ていない人間はどうでしょうか。

人間は恒温動物ですね。 ( 犬や猫もそうですが )

恒温動物は外気温の変化に対して体温を一定に保とうとする動物です。

体が濡れてそれが乾くときに気化熱として体温が奪われていくわけですが、

このときに体温が奪われるのだから低くなりますよね。

でも恒温動物である人間はその体温を上げて一定に保ちたいわけです。

そこで体は意識することなく毛穴を縮めたり運動エネルギーを得ることで体温を高めようとします。

毛穴が縮まるのが俗に鳥肌がたった状態でありまして、

運動エネルギーを得るとはガタガタと震えがくることであります。

唇が紫色になるのは寒いぞとアピールすることで注意を促しているわけで

人間の体とは本当によくできたものだなぁと感心してしまいます。

ここでブルッと一回寒気がしたぐらいではハイポサーミアにはかからないわけですが

ブルッと何十回したところで奪われていく体温の方が多ければ体はどんどん冷えていきます。

体温を上げようとするにはブルッも含めてどんどん体を動かして体温を高くすればいいのですが

体が冷える方向にあるという状況を改善することなくただ闇雲に運動をするだけでは

いつか疲れきって動けなくなってしまうでしょう。

実際、ハイポサーミアの事故では体温を奪われ続けた結果

体力が持たなくなって不注意な沈をしたり、

脱艇後に川岸に泳ぎ着けないまま流されてしまうといったケースが多いのです。

体が冷える状況を改善するとはどういうことか考えましょう。

カヌーやカヤックに乗って遊ぶにはどんな服装が水遊びに適していると考えるでしょうか。

まず動きやすい服装が一番なのはまちがいありません。

動きやすい服装のトップは丈夫なジーンズか短パンに気持ちのいいコットンのTシャツ

そして水遊びだからビーチサンダルだなと考えた人は多いでしょう。

うーーん。真夏の炎天下で絶対にひっくりかえらない保証があるなら

イメージとしてはその格好も悪くないですね。

実際、公園によくある貸しボートではそんな格好で楽しんでいる人々がたくさんいますしね。

でも炎天下でなくてひっくり返らない保証が無い場合、

しかもカヌーやカヤックといったひっくり返りやすいボートに乗る場合

コットン製品はタブーです

お洗濯をして最も乾きにくい繊維はコットンです。

化学繊維は肌触りはともかくとして水切れのよさはピカイチですね。

乾燥機を使おうと天日だろうと陰干しだろうと同じ面積の同じようなアイテムであれば

コットン素材の方がいつまでも湿っているはずです。

ということは、いつまでも気化熱を奪いつづけるということになるのです。

この乾きにくいコットンが厚地のものであればますます乾きにくいのは理解いただけますね。

そう。

ジーンズはカヌーやカヤックには非常に向いていないのです。

同じくコットンの肌触りの良いTシャツも向いていません。

そしてビーチサンダルに至っては最低最悪と言っていいぐらい危険な装備です。

では。

推奨できる装備としての服装はどんなものでしょうか。

素材は化学繊維のものを選んでください。

濡れても水切れがよく、体温で乾きやすい化学繊維の、

できれば長袖のものが適しています。

長袖が良い理由としては日焼けによる体力の消耗を抑えられること

肌を露出しないために怪我をする可能性が低くなること

急に寒くなったりすることがよくあるのでその場合にも適している

などが挙げられます。

ボトムはどういったものがよいかといえば

長ズボンタイプはやはり怪我をする可能性を低くします。

また脱艇して川を流れていくことを考えた場合ネオプレーンなどの

クッション性の高い素材などは岩にぶつかったときでも

体を保護してくれるでしょう。

また川の水は冷たいことが多いものです。

水につかる機会の多い人の装備として体を冷えから守る素材としての

ネオプレーンは非常に頼もしい味方であるといえます。

ただ、同じネオプレーンといっても素材によってクッション性の

劣る物もありますし、伸びが悪く運動性能が悪いものもあるようです。

それらの製品はメーカの今後に期待するとして

いまのところは立体裁断で体に楽にフィットする製品。

伸びがよく着ていて苦にならない物を選びましょう。

ただ、ダイビングのようなぴたっとしたフィット感の物を選ぶと

カヌー・カヤックでは動くことができません。

肩が楽に動くことは非常に重要です。

また、ダイビングのように体が伸びていませんから

運動坐り、体育坐り ( なつかしいですね )

が楽にできる物を選ぶ必要があります。

ネオプレーンは夏場には暑すぎることも多いものです。

脱艇の心配がなくなってくるとネオプレーンでは蒸れるのが嫌になってきます。

ココ2年ほどはブレザブルタイプといって薄手のフリース地に通気性のある

ゴム引きをしたような非常に着心地がよくしかも伸縮性に富んだ製品が

出回ってきました。黒色が基本ですが中にはブルー・レッド・イエローといった

カラフルな生地でアクセントをつけたものもあるようです。

またTシャツタイプ・長袖タイプ・ランニングシャツタイプ・ショーツ・ロングパンツと

バリエーションも揃っていますのでエディーラインとしてはお勧めすることが多い素材です。

化学繊維のアンダーウェアは真夏には一枚だけで着て快適ですし

また春先や秋口などは重ね着をすることで幅広い温度帯に対応できます。

また体の表面の水蒸気をいち早く表に送り出してしまうという特性がありますので

ウインタースポーツなどで重ね着をしていても肌はさらっと乾燥させることができ

一枚持っていると非常に重宝します。

パッキング時にもかさばらないので予備を持っていくことが億劫になりませんし、

連泊して洗い替えが必要なときでも手軽に洗って清潔な装備で

出かけていくことができるようになります。

風が吹くと川の上や海の上では非常に寒く感じることがありますから

薄手・厚手を問わずアンダーウェアの上に重ねられるパドリングジャケットや

ウインドブレーカー等の風除けをを必ず用意します。

真夏の場合半そでのパドリングジャケットがいいでしょう。

体が熱くなる熱射病や熱中症 ( ハイパーサーミア ) の可能性も考えることは

できますが、川や海は暑くなった時点で体に水をかけて冷やすことができます。

それに比べて水のうえで冷えてしまった後で暖めることは火をおこして暖を取るか

濡れた服をすべて乾いた暖かい服に着替えて風をよけておくしか手がありません。

そのため無駄だと思っても最悪の場合を考えて準備だけは怠り無くしておいてください。

なにもうだるような暑さの中でサウナスーツを着ろといっているわけではありません。

ボートの中には余分な装備を入れるスペースが必ずありますから

そこに防水バッグなどで濡れないようにした乾いた服を入れておけばいいのです。

経験が豊富なカヤッカーほどアンダーウェアやパドジャケの準備がよいものです。

もちろん最近はやりの非常にボリュームが少ないロデオボートなどは

スターンのボリュームも小さいためにスペースが確保しにくいかと思います。

自分の経験と技量と体力や体調をよくよく考慮してボートを選びましょう。

もしあなたの周りで必要な装備をめんどくさがって用意しない人物や

かっこ悪いといって初心者を惑わすような人物がいれば

はっきりいってそいつは馬鹿です。

ほっといて相手にしないようにしましょう。

そういう人物は最悪の場合に対する自己防衛の基本ができていないだけでなく

あなたをも巻き込んで死の淵を覗きたがっているだけなのです。

こういう人物はえてして押しが強くたまにカリスマ性のある人物であったりします。

人を見る目を養って間違ってもど素人の教祖様を信じることの無いようにしましょうね。